Studio Way To Moon

TRPG日記(ファーランド物語)

セッション3

 2009年4月12日に行われたセッションの記録です。長文が続きますが暇つぶしにどうぞ。

キュネリアの日記
クリストフの日記
ジュヴァンの日記
エリオスの日記
ウィードの日記

・ファーランドの地図とヴァンデミオンの街の地図

 ファーランドの地図 ヴァンデミオンの街の地図

・shunyanさんのイラストメモ(右から左へ読む)

 イラストメモ3_2 イラストメモ3_1

・キュネリアの日記


○○日
今日は色々と疲れました。
たくさんあって頭が少し混乱しています。
身体も少しだるいです。

何があったのかと言うと、王女さま?がお店に来ました。
びっくりしました。

応接間に案内したら騎士のお客さまがきました。
料理をたくさん頼んだウィード君が外に出ようとしたら騎士さんに掴まれたのでお話をしました。
途中エリオスさんが騎士さんにお話をしてくれたのでウィード君が離してもらえました。
席にも座るように促してくれたから騎士さんとお話がしやすくなりました。
エリオスさんはすごいなぁと思います。
まだ私には難しいです。

騎士さんから依頼をもらって内容を紙に書きました。
依頼の受付もできたから、お店の役にもちゃんとなれたかな?

依頼を書き終えてから店長に相談しました。
少し苦い顔をしていました。
勝手にやってしまった事だったからいけなかったかな………でも怒らないでいてくれたから少し嬉しかったです。
困っている人はなるべくほおっておきたくないものね。

王女さま、アロエちゃんは街を案内してほしいとお願いをしました。私とウィード君とエルゼちゃんで案内する事が決まりました。
あ、エルゼちゃんはウィード君が連れてきたみたいです。

みんなで仲良く手を繋ぎながら行きました。
途中までエリオスさんと一緒に行って広場の方で別れました。
ルメール君が後ろからついてきていました。
一緒に回ればよかったのにな。
でも、他にやることがあったのかな?

少し経つとエリオスさんが来て、日の入り位までだよと言いました。
時間を作ってくれたエリオスさんに感謝です。

アロエちゃんが出島に行きたいと言うので行きました。
でも出島のエルゼちゃんたちの住んでいる場所には行かないで近くの丘で住んでる場所を眺めていました。
少し寂しい目をしていました。

少し経つとライカールさんを見付けました。
アロエちゃんとライカールさんがお話をしているとライカールさんが言葉を強く言っていました。
アロエちゃんの顔の寂しさが増しました。
幼馴染みらしいのに、なんでかな………
たぶん、仲良しだったのに。
ライカールさんが帰ってと言ったのでとりあえず帰ろうかなって思ったらアロエちゃんが涙を流しながら走っていきました。
私はほおっておけなかったから走っていきました。
…この時、誰かを呼べばよかった………
一緒に走ってもらえばよかった………
追い付いたけれど、誰かに襲われました。

眠たくなっているのを耐えて、ギガちゃんを呼ぼうとしたけれど斬られて、魔法が当たって、痛くて、そうしたらまた眠たくなって…………
気が付いたら私の横にアロエちゃんはいなくて、代わりにルーナとエクスが居て。
………だめだったんだ、って分かって。
泣きそうになったけれど、身体は勝手に動いて仲間の所に言ってくれました。

そこから先は実はあまりおぼえていないです。

仲間にはちゃんと伝えられたのかな?
……エクスにも言いたいこと、伝えたいことがたくさんあったけれど、いなくなっていました。


《………私、色々な人に会ったよ。動物さんともたくさん会ったよ。お仕事もしてるよ。まだ失敗することもあるけれど、みんな優しくて私がんばっているよ。まだまだ未熟かもしれないけれど、立派な巫女さまになれるようにがんばるよ。
だから………大丈夫だよ。
安心して待っていてね。
ルーナも連れてきてくれて、ありがとう。とても嬉しい。
    それと、ごめんなさい。
わたし・・・》
(ここで文章が途切れています。ちなみに《》の中はエルフ語です。)

○×日
今日は朝ご飯を作りました。美味しくできました。ついでにクッキーも焼きました。こっちも上手に焼けました。
ウィード君の兄弟子さんがやって来てウィード君を連れて行きました。
クッキーが上手に焼けたから少しお土産にあげました。

皆さんに話を聞くとアロエちゃんのいるかもしれない場所がわかったとの事でした。
私は急いで袋にアロエちゃんの服を入れてクッキーを袋に入れて、小袋にお守りを入れました。
《あなたに幸運が訪れますように》

向かうとそこは倉庫でした。
ウィード君とルメール君が辺りを見ている間に私はギガちゃんを召喚したりしました。
がんばろうね、とギガちゃんにささやいて二人が戻ってきてから中に入りました。
中にはたくさん人がいました。
変な格好で変な話方の人。私を斬った人。ダークエルフさん。私を眠らせた人。
がんばろうと思いました。悪いことをしている人には、めっ!ってしなくちゃいけないです。

結論を言うと、みんなのおかげで戦いには勝ちました。
アロエちゃんも戻ってきました。
ダークエルフさんは逃げてしまいました。

でも、アロエちゃんが無事でよかったです。

そのあとみんなでアロエちゃんとか捕まえた人からお話を聞きました。
難しい事はあまりわからないですが人の思いが錯綜しているのだなと言うのはなんとなくわかりました。

………わからない事ばかりだから、私はどうすればいいのだろう?

エリオスさんやウィード君みたいに頭はよくないし、ルメール君やジュヴァンさんみたいに何かを誇れるものもない。
立派な巫女になりたい………だけ。

…ちゃんと役にたててるのかな?
人も守れないのに、誰かを癒せるわけでもないのに。

何もない私はどこにいけばいいのかな?

とりあえず、心配かけちゃだめ!
みんなにはまだ気付かれてないから、気付かれちゃだめ!元気に、元気にがんばるの!!
これ以上、みんなの迷惑になっちゃ………だめなの…

…うん、笑顔になれてる。
大丈夫。
よし、明日もがんばる!
お店に迷惑にならないように、みんなに迷惑にならないように!
がんばる!

・クリストフの日記


○月×日

いつものように冒険者の宿で依頼を待っていた。
だが、舞い込んできたのは面倒なことになりそうなだけの
おてんば女の我儘だった。
非常に受けたくないものではあったが、他の面々(特にキュノ)が
恐らく受けてしまうだろう。

そしてその考えは的中してしまった。やれやれ・・・・
しかもウィードとエルゼを連れていくという。
これで何も起こらないなら神の奇跡だ。
エリオスはどうやらついていく気はないようだし、
ジュヴァンは何やら怪しげな妄想をしていて、気にかける気はないようだった。

(俺が行くしかないな・・・・・)

とりあえず一緒に回るのは疲れるので、後ろをついていくことにした。
なんとなく見つからないようについて行ったつもりだが、どうやら
見抜かれていたみたいだな。ま、本業ではないしかまわないが。
途中鋭い視線を感じるも、奇跡的に何も起こらなかった。
これもマーファのお導きかもしれんな。


その後は色々ごたごたがあった。
そして、キュノが襲われ、おてんば我儘女は連れ去られたようだ。
まぁ、あいつの素性を鑑みるにそれほどひどい目には合わないだろう。
助ける義理も義務もないが、連れ去ったのは黒の騎士団のようだし
黒の騎士団を倒すついでに救い出すこともできるだろう。

色々とエリオスが交渉に行ったようだったが、どこもあまり問題視していないようだった。
盗賊ギルドでも葬儀屋が怪しいという情報を仕入れるにとどまった。
しかたないのでウィードとともに見張りに行った。
深夜に忍び込んだりもしたが、売れた棺桶の行き場がわかっただけで
特に収穫があったわけではなかった。


結局、何も手がかりはないので出来ることだけやっておこう。ということで
棺桶の行き先を調べ、その先へ行くことになった。

意外なことに棺桶の先には敵がいた。
一人なかなかやるやつもいたが、特に問題なく敵の殲滅を完了。
捕虜からの情報によれば、黒の騎士団ではなくただの
エスパニアの兵士くずれだった。

結局、今回はほとんどどの陣営も重要視しないような作戦を
無駄に潰したにすぎなかった。
こんなことなら普通に冒険者の宿で依頼を待っていた方が良かった気もするな。

あぁ、そういえばブリタニアの姫を自称するものからサミットへの招待状が届いたようだ。
何やら企んでいるみたいだが、あんなお嬢様に何が出来るのやら。
ま、一応見届けるもの悪くはないだろう。
敵になるなら容赦をする気はないがな。

・ジュヴァンの日記


  ここ数日というもの、笛を吹く楽しみに酔いしれている。ジャギュア先生に横笛を習っているのだ。ジャギュア先生と言えば、ヴァンデミオンで「ピョロリと吹 くジャギュア」としてを知るひとぞ知る笛の達人である。私が音楽に目覚め、ガリクソン楽士ギルドの門をくぐった時、ふえ科の教室から聞こえてきた激しく魂 を揺さぶられるサウンドの主であった。そのサウンドが横笛の開かれた可能性を私にさし示し、私は即決で入門を決めたのだった。

 珍事 勃発だ。いつもの様に北海の荒波亭でエールを嗜んでいると、一人のレディが飛び込んできて、自分がブリタニアの姫のアルテミスであり、守ってほしいとかそ ういったことを言ってきたのが見えた。そのレディを酒場にいた女性陣が奥まで連れてゆくと、次にブリタニアの兵士ダールトンなる人物が入ってきて、アルテ ミスの人相風体に良く似た人物を探していると言って来たのが見えた。まったく賑やかな酒場だ。まぁ、だからこそチャザ神の加護を身近に感じられるのである が。で、ダールトンの方はエリオスがうまく丸め込んでお帰り願ったようである。

 私が(残念ながら)扉の外で見張るなか、アルテミス を着替えさせた。アロエ(仮称)という名で一般人にまぎれてヴァンデミオン観光をする事になった様だ。キュネリアとエリオスをお供にして。それから、事の 前後は詳しく憶えていないが、ウィードが全料理の注文をするという無謀な行為に出た。そして、その料理を無駄にせずに片付けるためにセバールの有志を募り に行った様だ。私も後から出島方面に向かうと、ウィードの行列がやってきた。私も予定通りその行列に加わり、得意の笛でもって、ファーミョルンの笛吹きよ ろしく集団を先導した。実に楽しいひとときであった。ウィードは最近施しを覚えたという。そこで、「ほどほど」を覚えたらどうだと、我ながら上手いことを 言いつつ、酒場に戻り料理をおおかた片付けた。そして来たとき同様の風情で出島まで先導し終えると、出島では顔なじみのオジーが酒を飲もうと誘ってきたの で、二つ返事でご相伴にあずかった。

 オジーは沈みがちなセバールの人々の中では、ひときわ明るく人懐っこい御仁であるが、飲む酒は とても強いようである。そのせいか、その後の事はよく憶えていない。気がついたら集会所で水浸しになっていた。その場に来ていた仲間たちに空白の数時間の 出来事を聞いてみると、崖の下で血だらけになっていてもおかしくなかったそうだ。そして、ライカールはアロエ(仮称)の事を知っており、なにやら訳ありの 関係らしい。

 アロエ(仮称)がさらわれた。キュネリアが言うには、我々が集会場で気を抜いていた間に、出島入り口方面で黒の騎士団 らしき連中にさらわれたそうだ。それを聞いていたエリオスは馬を駆って出て行った。なにか思うところがあるのだろう。その後私は、キュネリアに連れられて きた、行き倒れていたらしいヴァンという男と話しをして、うっかりゼロの名を出したところ、血相を変えて詰め寄られた。たまらず黒の騎士団をエイデル諸島 で見た事を話したところ、ヴァンは走って出て行った。憎しみなのか愛なのか、強い感情が彼を突き動かしている。黒の騎士団の日ごろの所業を考えるとほぼ、 愛ではないだろう。

 アロエ(仮称)の探索を開始した。こちらにはアロエ(仮称)の残していった服があるのだから、犬の力を借りて彼 女の行き先を知ることは出来るかもしれない。チャザ神殿に、違法貿易検挙用の麻薬探知犬がいるかもしれないことに思い至り、私はチャザ神殿に向かった。ま ず同僚で親友のジョゼッペにあたってみたが、期待外れであった。次にジョゼッペの誘導でロイドさんにも会ってみたところ、やはり犬の心当たりは無いらし い。だが、アロエ(仮称)がブリタニアの本物の姫である可能性は非常に高いということが判った。また、話し込んでいるうちに伝令がやってきて、アルテミス の身柄確保の依頼が上がっている事を伝えてきた。とある貴族のグミ氏の依頼で、報酬は5千Gpである。私としては渡りに船な依頼であるが、仲間の意見を聞 くために荒波亭に戻った。

 依頼に対する仲間たちの態度は冷ややかなものだった、それというのも依頼主のグミ氏が信用出来ないという ことである。私はチャザ神殿のよこす依頼には全幅の信頼をおいていたのだが、だからといって依頼主の信用まで保障出来るものではない。もう一度チャザ神殿 に行きグミ氏の詳細を聞くことにした。ところで、独自に事を探っていたエリオスによると、高級住宅街の葬儀屋が怪しいとの事だ。その件ではウィードとクリ ストフが調査に向かった。引き続きエリオスはグミ氏周りの情報収集に出たようだ。

 我々の活動の結果、グミ氏は実在の伯爵でありイブ ラヒムの一派らしいということが判った。そして、怪しい棺の注文がありチャザ運送を利用していたことが判明した。それをうけて、チャザ運送をあたってみる と、港にあるエスタニア行きの船の倉庫に棺が運び込まれたようだ。そして、それまで宙に浮いていた神殿の依頼の方は、受ける事になった。アロエ(仮称)に つながる細い糸はようやく、具体的な形を示し始めた。

 我々は、黒の騎士団が潜伏していると思しき倉庫にたどり着いた。中の連中を一 網打尽にすべくウィードが周囲の窓と正面のシャッターにロックを掛けて回った。合言葉は「ウィードかっこいい」である。なるほど普段は使わない言葉だ。そ して、キュネリアがシャドウボディを、私がブレスをかけ、万全の態勢で突入した。敵戦力は戦士1、騎士1、忍者2、ダークエルフ1、魔術師1であった。

 苦戦した。敵後方の魔法と飛び道具による援護勢を潰すのに時間がかかったのと、敵の不名誉騎士グリードの予想外の強さに苦しめられた。 また、私のヒーリングがクリストフのダメージ増加ペースに追いつかずハラハラさせられた。回復効果が唱える度に大きく上下する不安定な呪文という印象が脳 裏に刻まれたのだった。今後はポーションも併用すべきかもしれない。その他の方面では皆善戦したと思う、キュネリアのデストラクションと、ウィードのスパ イダーウェブが効果的に発動したことは忘れない。

 戦闘のさなか、黒の騎士団に並々ならぬ因縁のあるらしい男ヴァンが窓から突入して きたが、ゼロの腹心と思しきダークが去ると、彼も消えていった。我々が今後黒の騎士団に関わるたびに、その姿を見せるのではないかという予感がする。それ はそうと、アロエ(仮称)は無事救出できた。また、降伏してきた忍者2名を捕虜にしたので、情報の鬼エリオスが尋問したところ、彼らは元エスタニアの軍人 で、グリードに引っ張られ出奔したのだそうだ。またダークには、技術者の獲得と、ブリタニアへの切り札の確保という使命があったようだ。

  倉庫の外でなぜか待ち構えていた導師ロイと警察の面々に、アロエ(仮称)と捕虜を引き渡し、一件が落着した。アロエ(仮称)の身柄を神殿に引き渡すという 依頼は仲間の意思を尊重して果たさなかった。その事を少々後ろめたい気持ちでロイドさんに報告した。世間話として、近所にイブ○○○という犬がいるのだ が、皆その犬を嫌っているということを告げたところ、なにやら哲学的な意味を見出して納得してくれたようだ。

 後日アロエ(仮称)の 使いが荒波亭にやってきた。我々は、結構な額のお金とサミットの観覧席の招待状を手にいれることとなった。人助けはするものである。帆船購入までまだとて つもなく長い道のりだが、一歩々々近づいてゆこう。「明日は今日より状況を良く出来るだろう」というチャザ神のつぶやきを信じ、国々の趨勢に煩わされない 自由な精神で人生航路の舵をきるのだ。

・エリオスの日記


日記、と書かれた羊皮紙の束がある。
あまり綺麗とは言えない字で書かれている。


378枚目
嵐は望まずともやってくる

困ったことになった。
否、なっている。

酒場兼宿の一室で…というか、扉一枚向こうでブリタニアのお姫様が着替えている。

軍の人間も来ていたし、面倒が起きなきゃいいけど。



379枚目
賑やかし、もしくは思いやり

博愛ちゃんと少年がお姫様のお守として一緒に出店を回るとのこと。
お姫様は正真正銘の馬鹿らしい。
ただ、気持ちは良く解る。窮屈な環境なら、時折そう思うのも無理は無い。

私が居た環境よりも過酷だろうしね。

鬱積した状態なら、たまには騒ぐのも良いことだし、あんな立場の人じゃ友達も少ないんじゃないか。

だったら、剣士君に三人のお守を任せて私は三人が遊べる環境を作ろう。


いかん、少し共感し始めてる。
まだ会ってほんの少しなのに。


380枚目
軍人の物分りを良くする最良の手段は、金と女と酒だ。

ブリタニア軍駐屯地までひとっ走り。
ブリタニア王女を預かっている、という無茶も難なく通してくれた。

なるほど、無価値か。

そも長兄、次兄といてその下。さらには女児とくれば、いかに王家の血を引いていても政略結婚以外に使い道はほとんど無いという認識らしい。

サミットにて王の代弁役というのも、使い走りの類としての役割か。

エスタニアとの全面戦争を控えている以上、暗殺のリスクは避けたい訳だ。

親のエゴってのはどこにでもあるもんだね。


381枚目
愛縁奇縁

剣士君曰く、何もなかったらしい。
いい事なのだが、どうにも腑に落ちない。

セバールの頭と昔馴染みらしい。
どうにも顔が広いな、あの男。

セバールの頭にあった途端、勝手に走ってどっか行きやがった。
護衛される事を放棄したいのかあいつは。
博愛ちゃんが追ったから、不味いことにはならないだろう。


帰りが遅い。
何かあったか?
だとしても馬で追いつけない脚じゃないだろうし…。
迷ったか見失ったか…それともなにかあった?


382枚目
嵐は平穏を浚っていった

お姫様が攫われた。
目を離すんじゃなかった。

勝手に走って行った馬鹿が悪いとは言え、目を離したこっちにも責任はある。

博愛ちゃんも相当な怪我だし、誘拐犯を一発殴っても文句はあるまい。

382枚目
貴族の語る面子ほど怪しいものは、ドラゴンの眼球くらいしかない

博愛ちゃんは出血こそ酷いものの、回復にそれほど時間はかからないらしい。
この段階であの馬鹿姫は放っておいてもいいかな、と思った。
が、どうもそういけないらしい。

イブラヒム派の貴族から、馬鹿姫奪回の依頼が正式に来た。
貴族自体は怪しくはないみたい。

ただ、依頼が来ること自体が怪しい。
国のトップは何を考えている?


383枚目
柩の行方

剣士君と少年が調べてきたことによると、葬儀屋の帳簿に怪しい客が居たらしい。
目星はそこしかなく…盗賊ギルドでウラも取ったが…。

うーん、やっぱり釈然としない。
上は何を考えているのやら。


384枚目
花は手向けず手折るのみ

エスタニアの不名誉印を持つ元騎士が誘拐していたらしい。
国への手土産に誘拐とは、武士道ってのもなかなか面白いもんだと関心したね。

黒の騎士団のバックアップがあり、さらには一人逃がした。

エスタニア上層部と騎士団のつながりに関しては確定材料が無いけど、ゆるやかなつながりはあるんじゃないだろうか。
それともただ不名誉兵を拾っただけ?

見えてこない。


386枚目
世界で一番高い物

しまった、タダ働きだ…。
結局ブリタニアに引き渡した以上、リューフェンベルクからの報酬はなし。
ブリタニアからの保護依頼も以前破棄しちゃってたし…。

勿体無いことしたなー。

そう思うと馬鹿の安否なんてどうでも良くなってきたな。

まぁ、身内は誰も欠けなかったし、良しとしよっか。


389枚目
そして再び嵐は来る

サミットへの招待状が届いた。
しかもあの馬鹿姫から。

いやまぁ、アイツ以外から届くことなんてないんだけどさ。

報酬も来たし、いいパトロンになりそうだ。

問題は、あの馬鹿姫の発言力がサミットにおいてどの程度あるのか。
国王の完全なる代弁であれば、ブリタニアは腑抜け扱いだろうし、あのお姫様の言い分であれば黙殺されるだろうし。

結局、どっちに行ってもブリタニアにメリットは薄いか。

見栄えのいいのを用意して、世論や民意を動かす目的ならあるいは…ってとこかな。

どちらにしろ期待するのが間違い。



招待状への返事(いつもより丁寧な字で書かれている)

サミットに招待していただき、ありがとうございます。

あんまり硬い言葉遣いは苦手だから、あとは口語で。
アンタ息抜き少なそうだし、無茶しちゃ駄目だぞ?
辛くなったら誰かに相談しな。
外に出るのが難しかったら、こうして手紙でも良いから。

キュネリアも返事かいてるみたいだし、息抜き考えるの面倒だったらあの子と文通でもしてみたら?

一人で鬱積して、軍の人に迷惑掛けないようにね?

じゃあ、サミットで会いましょう。

・ウィードの日記


※ウィードは思ったことをつらつら書き連ねるので
 非常に長文の帰来があります。読むなら時間のあるときに。

○月×+1日 (セッション3回目)

今日はいろいろなことがある日だ。
珍種メカカニタウルスの発見で今日はお終いだと思っていた俺様、
早々に日記を締めてしまったのが悔やまれる。
この波乱万丈はやはり俺様の大器が呼び寄せるのであろうな。
まったく英雄をやるのも忙しいもんだ。

北海の荒波亭で打ち上げ。
俺様、収入に懐も暖かかったので、かねてからの野望であった
「メニュー端から端まで全制覇」にチャレンジ。
ふふふ、客足の乏しい親父の店には降って沸いた僥倖だろう。
ありがたさをかみ締めつつ俺様のために腕を振るうがいい。

と思ったら。
親父張り切りすぎたのか、後から後から沸いて出る料理の山。
ちょ、ちょっと待て親父。久しぶりの上客に喜ぶのはいいが、
ここまでくると有難迷惑だぞ。常識を考えろ。
…何か厨房の奥から「残さず食えよ」とか聞こえてくるし。
こ、恐ぇ。さすが元ほとんど黒の剣士。
ていうか俺様の心象的には未だ真っ黒なんだが。

料理の山を目の前にして唸っていると、珍客あり。
見目麗しき令嬢ってやつだ。多分。
多分というのはそいつがベールを目深にかぶっているからなんだが、
こういったシチュエーションでは必然だろう。お約束、とも言う。
先人は言った。曰く「眼鏡とベールは美を隠すためにある」と。

さてその推定美女だが。
ベールを取ってみるとやはり目を見張るものがある。
その姿はまるで絵姿から飛び出たかのような気品にあふれ…って、
おかしいな、俺様最近どっかで見たことある気がする。
絵姿なんて王族由来の高貴なものしか描かれないはずだが…。

アルテミス、と珍客は名乗った。
アルテミス…!?ブリタニア王国王位継承第3位の姫君ではないか。
その御方が何でまたこんな、
寂れうらびれひなびて見苦しいし臭くて怪しい雰囲気漂う
お母さんに「近寄っちゃいけません」と言われかねない安宿に来るか。
俺様自分の記憶を疑うも、
いかんせん記憶術1レベルの成否判定は覆せない。

当然のことながら、その姫君は奥のVIPルームへご案内。
俺様も興味半分、知的好奇心半分でそれに続く。
二つあわせると野次馬根性と言うやつになるわけだが、
仕方ないのだ、若さゆえの過ちというやつだろう。

姫君は仕事の依頼でここに来たと言う。
そりゃそうだ、それ以外でこんなとこに来る酔狂な輩がいたら
俺様そいつの人格を疑うな。
で、依頼内容は…「遊びに行きたい」?
こ、これは!まさに俺様の為にあるような仕事ではないか!!

当然のことながら一も二も無く快諾。
喜び勇んで出かける準備をしようと部屋を出ると、
そこにはうずたかく積み上げられた料理の山、山、山。
…お、親父ー!?気でも狂ったか!?
未だ厨房で腕を振るいながら無言で圧を送ってくる親父。
ちょ…どうしようこれ。100Gpってさすがに多すぎたか。

ちょっとたじろいでるとまたも珍客。
今度は威圧感丸出しのプライド高そうな衛兵風おっさん。略しておっさん。
おっさんは居丈高に「ベールをかぶった女を見なかったか」とのたまった。
偉そうに。俺様ただでさえ衛兵は嫌いなのだが、
ここにきて元黒の剣士の重圧がさらに増してきて針のむしろ。

と、ここで天啓が舞い降りた。
「余っている物を足りないところへ、不要なものを必要な場所へ」
…これはジュヴァン兄ぃの敬愛するチャ・ザの教えだな。
「持て余した料理」を「飢餓状態のセバールの民」へ、
「将来の客予備軍」を「客足の薄い親父の店」へ、
「同じ年頃の暇してるエンジュ姉ぇ」を「遊びに行く頭数」へ、
そして「衛兵が嫌いな俺様」を「衛兵には関係の無い出島」へ。
そうか、答えは「出島」だ!!

○月×+1日 (セッション3回目:その2)

おっさんに絡まれるも、ルメール兄ぃの助け舟で一路出島へダッシュ。
着くと同時に亡者のようなセバールの民に囲まれる。
ふふん、俺様も顔が売れてきたな。
俺様はあわてず騒がず第一手を打った。
「ただ飯が食いたい奴は北海の荒波亭へ行け。」
俺様の魔法の言葉に、亡者の群れは去った。

集会所に着くと、エンジュ姉ぇの姿は無い。
代わりにいたエルゼに聞くと、
ライカール兄ぃとどっかに出かけてるという。
くそ、第二手破れたりか。…いや、こいつでいいか。
少なくともキュネ姉ぇは喜ぶだろう。
有無を言わさずエルゼ連行。ま、本人も喜んでいるしいいだろう。

北海の荒波亭に着くと、全ての困難は去った。
見る見る消えていく料理。
いつの間にかいなくなった衛兵。
親父の無言のプレッシャー。
俺様の策士っぷりには、かのルキアルも脱帽だろう。

さてさて、後は遊びに…もとい、仕事に行くだけだ。
とりあえず、アルテミス皇女には偽名、変装を進呈。
俺様命名、「アロエ」だ。うん、われながらベストチョイス。
どこぞの村の餓鬼んちょの名前だが、
裏も割れないし、割れたとしても本人には身に余る光栄だろう。
「ア」ルテミスと「ア」ロエで覚えやすいし。

祭りはいまや最盛期を迎え、
見るにも食うにも困らないほど出店がずらりと並んでいた。
とりあえず俺様お勧めの串焼き屋へエスコート。
続いて気になっていた串焼き屋へ、さらに新しく店を出した串焼き屋へ、
評判上々の串焼き屋へ、行列のできてる串焼き屋へ。
…お財布が一緒だと、何も気兼ねしなくていいのがいいなぁ。
うん、これも仕事仕事。必要経費必要経費。
何か背後がむずがゆい気がするが、気のせいだろう。
ルメ兄ぃもくればよかったのに。

一通り祭りを見物すると、今度は姫君、出島が見たいという。
ま、エルゼを返さなきゃならんし、ついでと言っちゃついでだ。
エンジュ姉ぇも戻ってきてるかもしれないし、
年毎の娘だったら話も尽きないだろう。一路、出島へ。

出島着。やはりエンジュ姉ぇとライカール兄ぃは戻ってきていた。
と、とたん姫君の顔が曇りだす。なにやら知り合いのようだ。
姫君はライカール兄ぃと連れ立って出島のはずれへ。
これは…エンジュ姉ぇには悪いが逢瀬というやつか?
興味半分、知的好奇心半分、すなわち野次馬根性発揮。
こっそり後ろから着いていってみると、二人深刻な顔で会話した後
姫君は走り去ってしまった。おっと、修羅場だったか。

ライカール兄ぃに事情を尋ねると、
「昔近くに住んでた幼馴染の関係だ」とかいう。
ちょっと待て、色恋沙汰に鈍い俺様でもそれは分かるぞ。
フラグというやつだ。それも一本筋の通った強力な。
漢なら追いかけろ、とはやし立てるもライカール兄ぃ動かず。
この朴念仁め、と思い憤懣やるかたなく集会所へ戻る。
…ふと思ったが、昔近くに住んでたって、ライカール兄ぃも王家縁?
まさかな、そうほいほい王族が市井に下っているものか。

失踪の姫君はキュネ姉ぇが追いかけていったので、
残りの人物でブレイクタイム。
エルゼにティーとミルクと砂糖の切っても切れない関係を説いてると、
キュネ姉ぇがぜんぜん戻ってこない。
まさかキュネ姉ぇに何かあったのかな、でもキュネ姉ぇギガ連れてるしな、
でもギガってダークネス一発で落ちるんだよな、今度やったら怒るかな、
などと取り留めの無いことを考えていると、表からパカパカと蹄の音が。

以下次号。ほんとに今日は長い日だ。

○月×+1日 (セッション3回目:その3)

蹄の足音の正体はキュネ姉ぇだった。
もとい、この書き方だとキュネ姉ぇが馬ということになってしまう。
悄然としたキュネ姉ぇ単身を乗せた馬だった。
…え、あれ、皇女は?

……え〜〜〜〜〜っ!?
皇女が、皇女がさらわれたぁ!?
ななな何たることだ。ここここのままでは
しょしょ職務不履行になってしまう。俺様の輝かしい経歴が〜!

さらったのは怪しい騎士と黒エルフ、フード2人の4人組だという。
これはヤヴァイと方々に捜索の手を伸ばす。

軍駐屯地では。例のおっさんに話を通すも
「単なる一般人」がさらわれたとしか取り扱ってもらえず。
ま、そりゃそうだわな。こいつの責任問題にも発展するし。

出島では。朴念仁ライカール兄ぃがばたばたしてるもこちらの聞く耳持たず。
この慌てっぷりはやはりフラグ有効をうかがわせるが、
何か空回りっぽい。だから追いかけとけって言ったのに。

詰め所ではいんちき臭いタハルフの姿は無く、
おでこの光るミズイマイがワタワタと対応してくれた。
…もとい、ワタワタしてくれた。ワタワタするだけかい、おのれは。

チャ・ザ神殿ではジュヴァン兄ぃのコネもあって
お偉いさんから協力が得られたが、結局のところ詰め所頼みのよう。
まぁ犯罪だからな。チャ・ザ神殿としては出る幕無いだろう。

頼みの綱、エリオス姉ぇ所属する盗賊ギルドでは。
相当ふんだくられた挙句、
それらしい怪しい集団が葬儀屋を手配してたという心許ない情報のみ。
傍目から見てもすっごい機嫌悪そうなエリオス姉ぇ。近づかないほうがいいな。

他はというと。チャ・ザ神殿を通じて
リーフェンベルクの貴族グミが捜索依頼を出したらしい。
エリオス姉ぇ情報ではこのグミなる輩は宰相シンパとの事。
他国の皇女誘拐に単なる一貴族が乗り出すとか、怪しいことこの上ない。

結局のところ八方塞となってしまった。
どうしようか思案の末、葬儀屋から線を追うしかないと俺様判断。
念のため、いやいやながら軍駐屯地に寄って
それとなくおっさんサイドの動きを探っておいた。
いや、だって姫様を出先で亡き者にしようって王道だろう?
ちゃんと捜索しているようだからそれは無いのかな、と思われたが。
ま、俺様の個人的欲求も満たせたからそれはそれでよい。ザマ見ろおっさん。

そして時刻は夜。本来なら俺様そろそろお休みの時間。
付いてきてくれたルメ兄ぃを物陰に隠し、
一人華麗に魔術的に身を隠し葬儀屋を見張る。
周囲に怪しい人影は無く、葬儀屋さんも店を閉めて出て行った。

…これは、やるしかないか?
ルメ兄ぃを近くに呼び寄せ、禁忌の泥棒呪文アンロックを詠唱。
中に押し入り、目に付いたものを端から物色。棺おけも片っ端から開放。
正直、いつゾンビーが飛び出すか気が気じゃなかったが。
その甲斐あってか、聡明な俺様、帳簿から
怪しい集団発注の怪しい棺おけが湾岸倉庫に運び込まれたことを突き止める。

もうここに用は無い。シャッター裏側から鍵をかけ、
2階出窓からフォーリングコントロールで華麗に脱出。
ふふん、俺様その気になれば怪盗としてもやっていけるな。

北海の荒波亭に着いたところで俺様ダウン。
何度でも言ってやる、俺様育ち盛り、眠いもんは眠いんだ。
続きの捜索は翌朝ということで床に就いた。

○月×+2日 (セッション3回目:その4)

翌朝。問題の倉庫に赴く。
どうも中に人がいるようだ。やはりここが誘拐犯の根城なのか。
状況証拠としては充分だろう。怪しきは罰せよ、全員一致の見解。

逃がしてはことなので念には念を入れあたりをぐるっと散策。
途中出入りできそうな窓とシャッターにロックをかけておく。
その間ばれてもいいように、ジュヴァン兄ぃに道に迷った
チャ・ザ神官のふりをしてもらう。ヤバ、俺様の策士っぷり炸裂。

準備はできた。後は強襲しか脳の無い俺様達。
いや、もとい、力押しの美学をこよなく愛する俺様達、突入。
突入の号令はジュヴァン兄ぃが嬉々として、「御用検めである」
何の権限も無いのにやたら嬉しそうな兄ぃ。気持ちは分かるけど。

そこには総勢6名の敵が詰めていた。
キュネ姉ぇ、何か聞いてたより敵が多いよ。
しかし冒険者たるもの、泣き言は言ってられない。
戦闘開始だ!

魔法でフルチューンされたルメ兄ぃが敵陣に突っ込む。
エリ姉ぇも先日の面目躍如とばかりに矢を放つ。
キュネ姉ぇはギガを駆使して敵を混乱させる。
傷つく端からジュヴァン兄ぃが回復させていく。
何たるコンビネーション。さすが歴戦の猛者たち。

俺様はというと、必殺のスパイダーウェブをこれでもかと乱射。
ぶっちゃけ、俺様最高。そして魔術は偉大。
当たる端から無力化できるこの魔法、強すぎだろ。
幸い敵方の魔術師がこれを使わなかったものの、
もし使われてたら大苦戦は必死だっただろう。
ま、俺様の潤沢な精神力あっての戦術なのだが。

結果取りこぼしはあったものの俺様達大勝利を収め。
部屋の中央に鎮座していた棺おけから見事姫君確保。
よかった、これで不始末はうやむやにできる。
えっ、職務不履行?何の話だい?
姫君はほら、ここにいるじゃないか。

姫君をエスコートして倉庫を出ると、そこには詰め所衛兵の山。
ヤバ、そういえばうちの国の変な貴族が依頼を出したって言ってたな。
正直俺様の手柄を奪われるのは癪だが、
国家権力に楯突くのも望むところではない。
ちょっとだけ天秤にかけてみたが、考えるまでも無かった。
姫君は俺様のお財布だ、もとい、友人だ。
俺様の友人「アロエ」としてごり押しすべく交渉に臨んだ。

結果、交渉するまでも無かった。気をもんだ俺様が馬鹿らしい。
師匠の野郎、勝手に裏に手を回して「警察は私が抑えた」だとぅ。
偉そうにするんだったらはじめから手伝え、と俺様思う。
最初からパフォーマンスの好きな奴だとは思ってたが、
きっと今回も警察隊の先頭に立ちさぞご満悦なんだろう。
なぜか俺様の華麗なる情報収集場面も見ていたらしいし。
ほんと食えない奴だ、師匠は。

姫君を無事ブリタニア駐屯地へ引き渡してから後。
北海の荒波亭に姫君からの使いが届く。
幸いなことに使者はおっさんではなかった。
多分おっさんだったら俺様躊躇無くスパイダーかましてただろう。

使者の内容は「今回のお礼も含め皆様をサミットに招待したい」
とのことだった。同封されるはVIP招待状6通。
6通…俺様達5人と、後は…エルゼの分か。なかなか気が利くな。
国賓待遇か…俺様もようやく認められはじめたのだなと実感。
とりあえず、エルゼにもったいぶりつつも招待状を渡しにいこう。
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