Studio Way To Moon

TRPG日記(ファーランド物語)

セッション2

 2009年3月15日に行われたセッションの記録です。この回からキャラ日記を各プレイヤーが書くことになり、残っている情報量も爆発的に増加しました。したがって、今回から先のセッション日記は長いものとなります。

キュネリアの日記
クリストフの日記
ジュヴァンの日記
ウィードの日記
エリオスの日記

・ファーランドの地図とヴァンデミオンの街の地図

 ファーランドの地図 ヴァンデミオンの街の地図

・shunyanさんのイラストメモ(右から左へ読む)

 イラストメモ画像

・キュネリアの日記

○○日
今日は前の事件の事でロイさんのお部屋に行っても皆で難しいお話を聞きました。

ロイさんのお部屋から出てくると小さな女の子が大きな男の人に襲われていました。

小さな女の子はエルゼちゃんと言います。
ジュヴァンさんとクリストフ君のおかげでエルゼちゃんには怪我はなかったみたいです。
よかった。

エルゼちゃんは助けてくれたお礼と言ってお家に案内してくれました。
出島にあるお家に行くとエルゼちゃんのお姉さんのエンジュさんが歌を歌っていました。
不思議な歌でした。
何か引き寄せられるような感じでした。
私も憶えたいなぁ。

後で聞いたお話なのですが、とある竜の歌らしいです。

エルゼちゃんのお家の中で香りの良いお茶を頂きました。
少しくせになってしまいそうな風味でした。
今度少し分けてもらえないかな?

エルゼちゃんとまた明日来る約束をして出島を出ました。
帰るときにエリオスさんとジュヴァンさんとお買い物をして帰りました。
私は焼き菓子を作る材料を買いました。
明日、エルゼちゃんや子ども達に作ってあげようと思います。
喜んでくれるかな?
一応失敗しないで作れたから美味しくできているといいな。

そうそう明日、無人島の調査に行くことになりました。
冒険者のお仕事、がんばります。
もちろん、ここのお仕事も手を抜かないようにしないと。
がんばろう、おーっ!

○×日
午前、エルゼちゃん達に焼き菓子をあげてきました。
みんな喜んでくれたから嬉しかったです。

冒険者のお仕事の無人島には船に乗っていきました。
風を切る感覚が気持ちよかったです。

行く途中で船が争っている所を見ました。
争いはあまり好きではありません。
みんな仲良くすればいいのにな。

上陸したらまず少し高い丘の上に行きました。
ウィード君は空に浮かんで回りをみてくれました。
私も浮かんでみたいなと思いました。
風の精霊さんにお願いしたら、少し乗せてくれるかな?
私重たいから無理かな?
今度少しお願いしてみよう。

君が建物を発見したみたいでそこに向かいました。

色々とあって中に入りました。
進んで行くと色々な物を見つけました。

奥まで行くと悪さをしている人達がいました。
何人か逃げました。
蟹牛さんが襲ってきました。
皆で頑張って蟹牛さんを倒しました。
中に乗っていた騎士さんと戦いました。
倒しました。
怪我をして、地面で寝かせるのが可愛そうだったので頭を膝に乗せました。
少し楽になってくれてたらよかったな。
でも、悪いことをしてはいけないと思います。
だから、めっ!ですよ。

街に戻ると偉そうな人に色々と聞かれました。
きっと、色々と大変なのですね。
お疲れ様でした。

詰め所にエリオスさんと行ってからお店に戻りました。
少し疲れていたけれど、お店の仕事も頑張りました。
ちゃんと役にたてていたらいいな。

ふぅ…疲れたからそろそろ寝ます。
おやすみなさい。
明日も良い一日でありますように。

・クリストフの日記

今回の依頼はチャザ神殿より、北方諸島の調査と
それにまつわる不穏な影の調査であった。
メンバーはいつも通り。みななかなか親しみやすく
今後も一緒に冒険をしたいものだ。
冒険に出る前にひと悶着あったりもしたが、
まぁ問題ないだろう。

諸島に出向くにあたり、紹介された船の船長が非常に
不安な人物であったのだが、特に問題なく上陸できたのは
まさに僥倖というもの。上陸前の船同士による争いには
不安を覚えたが、あの後はどうなったんだろうか・・・。

上陸後は目的地に向かったが、すでに敵が侵入しており、それの排除を
することになった。見張りは弱かったので楽勝だった。
しかし、複数の敵に逃げられ、なおかつ重要な手がかりも奪われ
非常に困ったことになった気がする。
しかし、ブリタニアの騎士隊長には勝利を収めることが出来たので
それに関しては上出来だったといえるだろう。
次は、あのゼロとかいうやつを倒したいところだ。

黒の騎士団。あれが諸悪の根源である気もする。
今後の動向を追う必要がありそうだ。
あとはブリタニアも気になるな。あの騎士は何をしていたのか・・・。
いずれにしても、悪いやつを倒したことで確実に平和に近付いただろう。
今後も頑張っていきたいものだ。

・ジュヴァンの日記

 ついに念願のモデルガン、「マスターグレード1/1マスケット」を購入した。海の男には銃が良く似合う。嬉しくて持ち歩いていると、少女がガ ラの悪い男にインネンをふっかけられている場面に遭遇したので、男に突きつけておどかしてやった。大海賊アポ・カルネ曰く「やさしい言葉に銃をそえると、 やさしい言葉だけのときより多くのものが得られる」の実践である。が、モデルガンである事を見抜かれたのか、男は強気に出てきた。銃なしで喧嘩になること を覚悟したその瞬間、私の仲間のクリストフが10gpポンと出してその場を丸く収めてくれた。若いながらも、お金の使い方を知っている男だと思い、彼を見 直した。

 その後少女は感謝のしるしに、セバールの出島にて我々を歓待してくれた。長年この街に住む私にも、縁のうすい場所だったの で始めて訪問したのだが、人々のうらぶれたその様相は予想以上であった。その中にあって、人々を励ます様に歌われていた歌、異国の歌であるが、心に響くも のがあった。歌や音楽は国境を越えて人々の心をうつ素晴らしいものだと思う。海の男のたしなみ、楽器の演奏を覚えたいという意欲がわいてきた。今度教師を 探してみよう。それはそうと、我々からのお返しの宴で振舞われたキュネリアお手製のお菓子は子供たちに人気となり、ウィードが振舞っていた樽酒はおじさん たちの人気となった。

 そうこうしているさなかふと立ち寄ったチャザ商会にて、冒険の依頼を持ちかけられた。他でもないセシルさんの 頼みとあっては無下には出来ない。依頼の内容は無人島であるエイデル島に最近出没した謎の集団の調査と、それが危険分子である場合、危険の排除であった。 海の安全の確保は、海事ギルドともいえるチャザ神殿にとっても死活問題であり、サミットを控えた王宮の海軍が動けない状態であれば、チャザ商会に仕事が 回ってくるのもうなずける。これは、海の男をめざす私としては文字通り渡りに船、ぜひ受けたい仕事である。仲間にも異論は無かったのは幸いである。依頼を 快諾して、喜び勇んで港を目指した。

 港で待っていたのは、海の男「キャプテン・カイジ」であった。チャザ商会でもエースと名高い彼 と仕事が出来るのは光栄なことだ。乗り込む船はキャラベル型。帆船としては小ぶりだが少人数で運行でき、冒険者から貿易商人はては海賊(ルフィ)まで好ん で使用する人気の船である。チャザ神殿の練習航海もこの型の船で行っていたので、懐かしい気持ちでいっぱいだ。エイデル島までの3時間の航海の間に、カイ ジ殿の好意で操舵をさせてもらえたのだが、我ながら会心の操舵であった。ヴァンデミオン近海は庭のようなものである。もっとも、過去の練習航海で操舵に失 敗して船が傾き、甲板から人が落ちるという事も何回かあって、その度にこっぴどく叱られトイレ掃除当番にさせられたことも、今は懐かしい思い出である。

 エイデル島付近で、船同士の戦闘を見かけた。片方の船はみるみる沈んで行く。私としては、海での人命救助を優先したかったのだが、カイ ジ殿は頑なにそれを拒んだ。そのために私は感情的になりかけた。だが、冷静に考えてみれば、救助活動を行ったとしても、こちらの船を沈められ要救助者をい たずらに増やす結果になることは目に見えていた。海の男はときには感情を抑えなければならないことを、痛感した。ところで、攻撃側の船を見て、仲間の誰 だったかが「黒の騎士団の旗だ!」と言っていたが、黒の騎士団が海上にも勢力を伸ばしていたとは驚きだ。

 我々は安全策をとってエイ デル島に例の場所の反対側から上陸した。島の起伏の木々で覆われた頂上から例の場所を観察すべく、仲間のウィードが魔法を使って空高く上昇して見回した。 この魔法はレビテーションというらしい。とても使える魔法だと思う。例えば、午前様になった魔法亭主が帰った家に静かに忍び込むのに使えたりするだろう。 魔法はカッコイイのだ。で、いろいろ偵察した結果、その島には遺跡があり、その遺跡に謎の勢力が入り込み、見張りを2名立てている事がわかった。仲間うち でいろいろ相談した結果、見張りとコミュニケーションを取ってみて攻撃してきたら返り討ちにする算段をたてた。他の3人を近くに潜ませ、私とクリストフの 2人で遠巻きに声をかけた。「リーフェンベルグの王宮の方から来ましたー」と。連中はリーフェンベルグの秘密部隊だと名乗ってきたが、怪しいものである。 案の定連中は会話を中断、攻撃を仕掛けてきた。この事から、連中は危険分子であることがわかる。そこで、こちらは予定通り応戦する。ウィードの魔法で片方 を眠らせ、もう片方もクリストフの攻撃を受けて運悪く絶命した。戦闘はあっさり終了したので、眠った方を縛り上げ捕虜にした。そこで、生命と情報を交換す る売買取引行った。捕虜が語るには、自分はブリタニアの軍人で、上司ジェレミアと共にこの島にやってきたとのこと。総勢4人であること以外、目的などは詳 しく知らないそうだ。我々も遺跡に入り、ジェレミアから真相を聞きだすしかなささそうだ。

 遺跡は見かけよりも大きなものであった。 迷わぬ様に我々は冒険者に伝わる「左手の法則」を頼りに進んで行った。途中、「ファティマ回収の手順」「オメガギアの仕様書」「オメガダイトの化学的用 途」などの書類や、謎の単語を連発する文章の書かれたプレートに遭遇し、謎が深まった。この過程では、いわくありげな鉄製の箱に仕掛けられた、アラームの トラップを鮮やかに発見し解除したエリオスの手並みが見事であった。彼女は遺跡の中で輝くタイプらしい。その甲斐あって一塊のオメガダイトを証拠品として おさえる事が出来た。

 遺跡のもうひとつの出口らしきひらけた場所に、ジェレミアがいた。ジルベルト博士と呼ばれる人物と一緒であ る。強敵然とした彼らと戦うために我々が臨戦態勢を整えていると、黒の騎士団のゼロなる人物が乱入してきた。あわや三つ巴の乱戦かと思いきや、ゼロはジル ベルト博士と、隠れていたダークなるダークエルフの御仁を伴って海に消えていった。去り際に一言、不完全なオメガギアの弱点を語っていった。もしもこの情 報が得られなかったなら、我々は全滅していたかもしれない。我々は有力な情報を得て、勝算をもって戦いに挑んだ。ジェレミア操るオメガギアは蟹の胴体に牛 の頭2つという奇怪な姿であったが、弱点を突く事で強力な兵装が活用される前に破壊する事が出来た。むしろ、操縦をあきらめ脱出し、なお攻撃をやめない ジェレミアの方が強敵であった。しかし、我々の素晴らしい自由連携攻撃をもって、ジェレミアを戦闘不能に追い込むことが出来た。

 我 々の溢れんばかりの才能と、神に愛されし幸運をもって、今回の依頼はほぼ達成された。あとは事後処理である。捕虜2人を役人に引渡し、チャザ商会へ報告に 訪れた。報告を聞いたロイドさんは珍しく難しい顔をしていたが、上首尾に終わった依頼を祝してボーナスをはずんでくれた。私としては、このボーナス分を独 り占めして酒場に消える誘惑に駆られたが、神の愛は正しき人にそそがれるものであるし、自分の道義上の責任を果たすことが自由人の務めであることは言うま でも無い。そういう事を思い出して、ファラリスの誘惑に抵抗する事が出来た。

 以上が今回の冒険の経緯である。なによりも私の心を惹 きつけたのは、音楽の力であった。チャザ神殿ではレトリックの授業において言葉の力、言葉に秘められた癒しと破壊の力を鍛えられたものだが、音楽にもまた 同等、いやそれ以上の力があると感じた。国境を越えても作用するその力は、海の男にふさわしい。是非とも身につけたいものだ。

・ウィードの日記

※ウィードは思ったことをつらつら書き連ねるので
 非常に長文の帰来があります。読むなら時間のあるときに。

○月×日

今日もジョシュア兄は馬鹿だった。
オレ様の兄弟子であるというのはまこと遺憾なことだ。
ま、嘆いていても仕方ない。
兄弟子の顔を立てて、師匠の元へ向かう。

今日も師匠は格好つけしぃだった。
ちょっとでも雰囲気を出そうと部屋を暗くしていたので
思わずライトを唱えてしまった。オレってお茶目。
でもあの渋さにはちょっとだけ心惹かれるものがないわけでもない。
椅子に座ってみたり、冊子を指で開いてみたり真似したが
どうもオレ様には似合わない。これが年齢の壁というものだろうか。

師匠の話の内容はいつもどおり小難しかったが、
要約すると「前回のことは他言無用」ということだ。
オレ様的には情報なんてのは受け取る側の問題であって、
流す側が制限掛けることなんて無いと思うのだが。
ま、衆愚の考えることは分からんから、
それが政治的配慮といわれればしょうがないから従っておこう。

政治といえば。
オレ様、あまり係わり合いになりたくない…もとい、
今までなおざりにしてきたのを師匠に問いただされてしまった。
歴史学は好きなんだが、政治学となると…
ミンシューノシンイ、というものが理解の範疇にないから
苦手意識を抱えているというのは分かっているんだが。
仕方ない、馬鹿にされっぱなしも悔しいから
師匠もぐうの音の出ない完璧なレポートを仕上げてやろう。

街中に出ると、悲鳴が聞こえた。
正直なところ、オレ様暴力は大の苦手だ。
過去何度となくシャイアン…村長の息子に
やられたからという訳ではないが、
どうも荒事は身がすくむ。

まごまご…もとい、事態を静観していると、
オレ様の仲間がいさかいを無事納めた。
脅しといくばかの金と。
なるほど、あれが飴と鞭で人心を掌握するという奴なのか。
オレ様の帝王学の一ページに手法を刻んでおこう。

幸運にもオレ様(の仲間)に助けられた女は
エルゼとかいうお子様だった。
謝礼をしたいというのでついて行った。
ま、これも庶民の暮らしを知るという
ふぃーるどわーく、というやつだな。

案内された集落(?)は悲惨、の一言だった。
よくもこんな環境で人が生活できるものだ。
皆一様に目が荒んで生気がない。
セバールの民とかいったが、
なかなかに興味深い歴史背景を抱えているようだ。
オレ様のレポートの題材としては申し分ない。
以後、ちょくちょく見聞に訪れるとしよう。

集会所という名のバラックでは、
エンジュという女の人に茶を振舞われた。
味は…中の下。
これにたっぷりのヤギミルクと砂糖を落とせば
一級品になるのだろうが。
残念なことに財政事情が許さないらしい。
ま、村の環境から押して知るべし、ということだろうか。

そのエンジュだが、これまた興味深い歌を歌っていた。
言語学に造詣が深いのが魔術師の常だが、
そのオレ様の英知をもってしても出自の分からない歌だとは。
上位古代語で「噛み殺しの竜」を歌っているものとは
判別がついたが、なぜセバールの民がこんな歌を伝聞してるのか。
ううん、オレ様の歴史学にもまだ至らぬところがあるらしい。

いろいろと調べたいことも出来たので、
オレ様御用達の図書館へ赴く。
蔵書量はピカ一だが、本の手入れがなっていないのが難点だ。
目的の本を探すのにジャッジ…もとい、検索が必要だとは
司書官の怠慢に違いない。
けして、オレ様の探し方が悪いわけではない。

体よく目的の本を見つけ、即読破。
オレ様の学習意欲にとってすれば、こんな本など物の数に入らない。
国家間関係と時代背景を軽く斜め読みし、理解。
ますますもってセバールに興味がわく。
特にオメガダイト。オレ様の知的探究心をつつくにくい奴だ。

…長くなったので続きは後で書こう。今日はいろいろありすぎた。

○月×日(その2)

調べ物も終わり、夕食を取りに宿へ行く。
ここの親父は無愛想だが腕はなかなかのものだ。
特に長時間煮込んだシチューは☆二つ半をやってもいい。
ついでにエール酒も嗜んでみたが、苦い。
これならブラージュの果実酒のほうが何ぼかいける。
ま、オレ様的には果実ジュースのほうがもっとよかったのだが。

ルメール兄ぃがいたので一緒に卓を囲む。
酒は冒険者としてはほどほどにしとけよ、といっていたが
オレ様賛同は出来かねる。
酒は百薬の長、と常日頃親父も言って呑んでいた。
薬だから苦いんだろうし、健康にもよいに違いないだろう。
シャイアンも呑んでいたというのだから、オレ様に呑めない訳がない。
…この苦ささえなければ。今度砂糖でも入れてみようか。

そうこうしてると、ジュヴァン兄ぃはじめ
仲間がぞろぞろ帰ってきた。
聞けば、仕事を引き受けてきたという。
エイデル諸島に巣食う謎の集団の調査。
エイデル諸島…交通手段は船か。これまた興味深い。
オレ様船には乗ったことがないのだ。
正直ちょっとわくわくしながら床に就いた。
明日は晴れるといいな。

○月×+1日

今日は絶好の旅日和だ。
ルメール兄ぃは一足先に船へと赴いていった。
きっとはやる気持ちを抑えきれないのだろう。
まだまだ子供だな、兄ぃ。

オレ様はというと、
こないだ学んだ帝王学を実地すべく、
胡乱なセバールの民への施し物として酒を用意して出島へ向かった。
百薬の長であるからして、あの生気のない住人にも
いくばかの活力を与えるだろう。
苦すぎて呑めなくても悪いので砂糖も携えていく。
なんて用意周到なんだろう、オレ。

オレ様のカリスマか、果てまた人心掌握の賜物だろうか、
集落に着くなりわらわらとおっさんたちが群がってくる。
そして苦い酒をこともなげに飲み干していく。
その顔は至福に満ちている。
…まともな物食ってなかったんだろうな、味覚が壊れているようだ。
待て、オレ様にも勧めるのはいいが、
オレ様は砂糖を入れたほうが…何、酒を冒涜するなだと?
ガキくさいと馬鹿にするのでそのまま呑んでやった。
呑めないことはないんだ、ただオレ様の舌には合わないだけなんだ。
そういうと皆笑っていた。民衆は理解しがたい。
別れ際に「働けよな」と鞭を入れてみるも、手応えはあまりない。
民衆は飴と鞭で動くものではないのか?ますますもって理解しがたい。

集落を後にし、船を眼前にする。
船とは一様にこんなボロいものなのだろうか。
それとも、単にグレードが低いのか?
だとしたら、御付の船長の質にも納得できる。
類は友を呼ぶという奴だ。
あれ、ちょっと違うかも?まぁいいか。

船旅は…最悪だった。
いや、俺様の名誉のために言っておくが、
船酔いしたわけではない。事前に飲んだ酒が悪かったのだ。
その証拠に、陸地が近づくにつれて、じゃない、
時が経つにつれ平気になっていった。
魚も釣ったぞ。これは打ち上げの肴にしよう。

欄干に突っ伏して…もとい、寄りかかって周囲を見ていると、
遠方で2艘の船が競り合いをしている。
片方の船の旗に見覚えがある。あれは…黒騎士団だ。
少し気になったが、今は上陸が最優先だ。
地図にぶちまけるくらい、オレ様陸が恋しいのだ。
い、いや、船に酔ったわけではないぞ、けして。

陸地上陸。揺れない大地のありがたみを知る。
やはり人は大地に根ざしていかねば生きてゆけないのだ、と実感。
とりあえず周囲の探索のため高台を目指す。

高台に着いた。が、鬱蒼と茂る木々で周囲を見通せない。
こんな時は万能たる魔術の出番だ。
覚えたてのレビテーションを唱えると、
キュネリア姉ぇがこっちを羨ましそうに見ていた。
ふふん、これこそが万能たる所以なのだ。オレ様って天才。

まずは目的地を見渡す。遺跡があるな。
退屈そうな兵士が二人…あれはどこの国の紋章だ?
どこかで見たような気もするが思い出せない。
具体的に言うとジャッジで1足りないくらい。
次いで先ほどの黒騎士団の船を見る。
競り合いは黒騎士団の勝ちのようだ。
ま、オレ様には関係のないことなんだが。
後周囲を見渡しても何も面白そうなものがないので降りた。

…そろそろ夕食の時間だな、続きはまた後で。

○月×+1日(その2)

夕食も食ったので続きと行こう。
さて、どこまで書いたっけか。
そうそう、二人の兵士を見かけたところだったな。

とりあえず埒が明かないので、接近を試みることで全員一致。
およそ50mほど離れたところで再度様子を伺う。
キュネリア姉ぇがもにょもにょ何か言うと、
したり顔で何かうなずいている。
「だりぃ〜」だの、「ねみぃ〜」だの、
ぼそぼそと何か…あいつらの会話を聞いてるのか?
そうか、ウィンドボイスか。精霊魔法にそんなのがあったな。

負けじとオレ様もこれまた覚えたて、ビジョンの魔法を披露する。
体を動かさなくても景色が後ろに流れていくので
非常に違和感はあるが、これは便利だ。
本当に眠そうな兵士の脇をすり抜け、
遺跡内へもぐりこむと、地下への階段をくぐって
T字路があることまで判明。で、時間切れ。
ま、かなり奥深そうということが分かっただけよしとするか。

問題は兵士をどうするかだが…
オレ様の必殺スリープクラウドで一掃という案と、
さりげなく近寄って情報収集という案、
結局は情報がほしいということで近寄ることになった。
状況的に心証真っ黒なんだから、一掃でいいとは思ったが
ま、決定には従うさ。スパイダーウェブの準備をしつつ待機。

交渉役にはルメール兄ぃとジュヴァン兄ぃが立候補。
なにやら最初から剣呑な雰囲気であったが、
キュネリア姉ぇの中継により交渉決裂が発覚。
のろのろと獲物を構えて二人に近づくが、
そこはオレ様、すかさずスリープクラウドで一人撃沈。
キュネリア姉ぇのスネアーも炸裂して、後はたこ殴りだった。
にしても、ルメール兄ぃ鬼人のような戦いっぷり。
怒らせないようにしようっと。

後で分かったんだが、この兵士たち、ブリタニア出身らしい。
そこに「ヴァンデミオン城の方からやってきました」と
交渉を持ちかけたから、効果は抜群だったようだな。
うそも方便、という奴か?
いや、うそではないな。実際城のほうから来たんだから。

情報の取得方式についてはあえて言及しない。
…オレ様、野蛮なことは好かんのだ。
血とか見ると、怖くなる…もとい、怖気が走る。
思い出したくもない。

捕らえた兵士(ダリィー、とかいったか?ふざけた名前)を
簀巻きにして転がし、遺跡へと乗り込む。
得られた情報から中には騎士隊長と部下がいるらしい。
天井へ壁へと警戒を厳にしながら探索開始。

途中の小部屋で資料をゲット。
共通語でかかれたものが多かったが、
中にはオレ様でしか読めない資料もあり、
魔術師の面目躍如といったところだ。
「ファティマ」とか「オメガギア」とか固有名詞満載で
意味の取れるものは少なかったが、
「オメガダイトの仕様」、これはいい資料だ。
そして金属プレートに掲示された謎の文体。
「一つ目の鍵」「ファティマ」「時の魔女」と
単語しか拾えなかったが、
なにやら以前モノリスに記されていたものと共通項がありそう。
単純に考えると「一つ目の鍵」=「ファティマ」=「時の魔女」か?
まぁ、写しは取ったのでこれを師匠に見せよう。
きっと重要なものに違いないから、きっと褒められるぞ。

さらに歩みを進める。
小川をまたいだ石橋を渡り、
(何故か「橋がダメなら、真ん中だぁ」と中央を渡る者がいた。
普通、橋は真ん中を渡るものだろう?)
奥の小部屋にたどり着くとそこには怪しげな木箱と鉄箱。
触ろうとするとエリオス姉ぇに窘められ、しばし傍観。
ちゃっちゃと慣れた手際で何かしたかと思うと、
「アラームの罠がかかっていたけど解除した」と。
さすが姉ぇ。交渉事と探索には滅法強い。
弓矢はへっぽこだけど…おっと、失言。

鉄箱の中には赤い光を放つ物体が。
ヤバイ、これって昔師匠の言ってた
「ホウシャセーブッシツ」って奴じゃないのか!?
身の危険を感じ距離を置いたところに
キュネリア姉ぇが事も無げにかばんにそれを放り込む。
よく見たらオメガダイトだった。
なんてことだ、出遅れるなんて一生の不覚。
出して見せてと言っても断られた。
いいもん、かばんにほお擦りでもしてやる。

木箱に合った謎の部品も証拠物品として回収しつつ、さらに奥へ。
途中エリオス姉ぇが何かの罠を踏む。
何事もなかったようだが、やれやれ。前言撤回しようかな。

たどり着いた先は神殿。
以前のゴブリンの洞穴の奥を髣髴とさせる。
なにやら奥で怪しげな行動をしてる人が二人。
奴らが騎士隊長様とその御付の様だ。
ここまできたら遠慮はいらないだろう。
現行犯で全員、逮捕だ。

戦闘開始、かと思いきやなにやら雲行きが怪しい。
水晶の十字架から少女が飛び出てきた。
すかさず柱の影から黒い甲冑の騎士が出てきた。
なにやら件の二人と少女の取り合いをしているようだ。
これは怪しい。オレ様たちも少女を確保すべく行動開始。

…するも、あっけなく黒騎士と騎士隊長従者には逃げられる。
特に従者はルメール兄ぃとウィスプの包囲を破って逃走。
しかも少女を抱えて。これはかなりの実力者だ。
残された騎士隊長は呆然としてたが、
何を思ったかオレ様たちに八つ当たりを敢行。
違うだろ、主人を裏切った従者か黒騎士にしろっての。

騎士隊長は傍らにあった怪しさ満点の機械に乗り込んだ。
牛の頭にかにの機械ボディという醜悪な奴だ。
第一発見者の権利としてメカカニタウルスと命名。
後でそれがオメガギアと判明するが、学術名にでもしてもらおう。

メカカニタウルスは強かった。
戦いは、熾烈を極め血で血を洗う有様だった。

…とでも書けば格好よいのだろうが、
オレ様正直なので嘘は書けない。
弱かった。いや、オレ様の援護魔法が優秀すぎたのだろう。
メカカニタウルスはあっという間に残骸と瀕死の騎士隊長に化けた。
エリオス姉ぇがジュヴァン兄ぃを射抜いたことだけ特筆しておく。
敵には当たらないのに、味方は確実に射抜いている。
恐るべし、エリオス姉ぇ。怒らせてはいけない相手が増えた。

へっぽこ騎士隊長ジェレミアとへっぽこ兵士ダリィーを連行。
…している間の記憶は定かではない。
ふん、魔術は精神力を消耗するのだ。
それにオレ様育ち盛りの男の子。眠くなって何が悪い。

起きた時にはなにやらへっぽこな衛兵長が取り仕切っている。
しかも段取り悪い。補佐官もへっぽこ。へっぽこだらけだ。
何より詰め所でカツ丼の一つも出さないとは。
へっぽこここに極まれり、だ。

後日談。
ブリタニア騎士一味は捕縛後本国に強制送還、死刑となったらしい。
きわめて野蛮な行為と憤ったが、
エリオス姉ぇによると裏があって、イブラヒム代行の差し金らしい。
政治のことはよく分からんが、なにやらきな臭い。
そして国家機密であろうそんなソースを持ってくる姉ぇに脱帽。
いろんな意味で敵にまわしたくはない人だ。

さてさて、そろそろ筆休めの日記を置いて、
真っ赤になって帰ってきたレポートの修正でもするか。
にしても、師匠も洒落のわからない奴だ。
オレ様がまじめに茶のことのみでレポートを出すわけないだろう。
ま、おいおい分かるだろう。オレ様の優秀さが。
とりあえず土産代わりの資料一式は出してきたから、
検索に明け暮れている間にちょっとはまじめに書いてやるかな。

・エリオスの日記

日記、と書かれた羊皮紙の束がある。
あまり綺麗とは言えない字で書かれている。


368枚目
魔術師のセンセーからの報告あり。
収穫はないこともない。
当然か。昨日の今日で結果が出るなら、歴史なんて不要になる。
とりあえず調査隊の結果待ち。サミットに間に合うかどうかはセンセー次第。

カーディス≒ファティマなのか、生贄=ファティマなのか、それとも祭壇の首無し=ファティマなのか。


369枚目
金の話をしよう。
親父の口癖。

剣士君が面白いことをやっていた。

セバールの難民が絡まれているところに、
庇いに入ったお坊さん、
難民を安心させに言った博愛ちゃん、
金で解決した剣士君。
三者三様。

安全を金で買うって思考、冒険者より商人向きだね。


370枚目
歌は良いね。

セバールの難民キャンプに案内される。
三人が助けた子供が水先案内人。
育ちが良いのか、親のしつけが良いのか。
それとも単に舞い上がっただけなのか。

歌を聞かせてもらった。セバール独特なのか、歌詞はよく解らない。
少年と歌った女性曰く、神殺しの竜の末路を歌ったものだそうだ。
セバールの国教はなんだったか。調べれば面白いものが出てくるかもしれない。

歌の礼に差し入れを持っていこう。
国教や土着信仰の話も聞きたい。

博愛ちゃんが子供になついた。
相変わらず微笑ましい。


371枚目
他国にとって良い君主の条件は、統治、君臨、自治のみをする人物を指す。

セバール難民のリーダーを見かけた。
判断材料は少ない。

難民そのものが混乱を招く要因
三国がそれを自治の名の下に制圧する可能性がある

以上二点を凌ぎ、どう自論をねじ込むか。

国が荒れなければ良いけれど。


372枚目
海の男現る。

仕事。昨日の今日で生き急いでる気がする。
リーフェンベルク領の諸島に確認された不法侵入者の目的を探ることと、可能ならばそれの排除。

国防、外交、面子。色々絡んでいて、嫌な問題。
ブリタニア、エスタニア、どちらでもおかしくない。
この時期にただの海賊でした、なんて事態は期待できない。

船のキャプテンはなかなか面白い人だった。

少年、船駄目なんだね…。


373枚目
そういえばこんな人たちも居たね。

どこぞの国の船が襲われていた。
黒の騎士団。全勢力に対し武力介入をする集団。
団員の志向がわからないから、どうにも気持ちが悪い。

武力集団である以上、後ろ盾はある筈。
本気で武力による世界平和を目指しているようなバカの集まりではないと思いたい。

それこそ、全世界にとっての脅威じゃないか。


374枚目
いいえ、説得です。

ブリタニアの軍人が島に居た。4人。
一人を説得し、中の情報を得る。あくまで説得。

主犯格はジェレミアという騎士団長。
目的は不明。
巨大な水晶と、その中身の女の子(?)に対してファティマといっていた辺り、色々知ってだけど…。この辺は後で。

オメガダイトを燃料として使用する兵器の技術は、黒の騎士団が所持。技術者の名前はジルベルト。ブリタニア軍から騎士団へ籍を写した。

ブリタニアと黒の騎士団がオメガダイトを燃料として使用する兵器…オメガギアの技術を所持している可能性大。
オメガダイトを欲しがるわけだ。


375枚目
収集は重要。整頓はもっと重要。活用は最重要。

手元の情報を纏めよう。
コレ、誰かに見られたら不味いな。

依頼の島にあった石版の内容。少年が写しをセンセーに渡してはいる。
無駄といえば無駄。ただ、無駄こそ人の文化。

一つめの鍵
ファティマ
時の魔女

鍵に関しては解らない。ずばりそのもの鍵なのか、それとも比喩か。後者かな。

ファティマ。これが鍵なのか、それとも魔女なのか。はたまた生贄なのか。
どっちにしろ情報不足かも。

時の魔女。カーディスの寄り代?飛躍かも。ただ、鍵とか固有名詞とか生贄とか、思い当たる節は凄く多い。

駄目だ、考えすぎ。ここまで来ると妄想かもね。


376枚目(字が他の紙と比べてさらに汚い)
物事には裏がある。戦争には金が要る。敵の敵は味方ではない。

ちょっと整理しよう。混乱してる。

1、ブリタニアはオメガギアの起動実験をリーフェンベルクに通達していた
2、チャザ=海上保安部=警察機構にはそれが知らされていない
3、イブラヒムが通達を把握していた

こっからは推測。
4、イブラヒムはブリタニアの連絡船が来るタイミングを知っていた?
5、ジルベルトが連絡船のタイミングを騎士団に密告した?

4の場合。
イブラヒムと黒の騎士団が繋がっている。
5の場合。
ジルベルトが呼んだだけ。

両方もあり。

イブラヒムがキーパーソンかな。
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